そうか……女性といるのを見るのが嫌なのは、当たり前といえば当たり前だ。私はまだ誠一さんが好きなのだから。彼が他の誰かと一緒になっても、私はきっとずっと忘れられない。

『いつかきっと、もう一度君にプロポーズをしに行く。俺が生涯で愛せるのは君しかいないんだ』

 別れ際にあんなふうに言うから。もしかしたら本当にそんな未来が来るかもって、心の奥底で期待してしまっていたのだ。

 私から無理やり別れた上に、二年も経つとなれば心変わりしていたって全然おかしくないのに。自分勝手で嫌になる。

「……恵茉がいれば十分なのにね」

 小さくて柔らかな身体をそっと抱きしめ、ぷにぷにのほっぺに頬ずりする。

 妊娠がわかった時はものすごく不安だったし、誠一さんに伝えなくていいのかと葛藤した。でも、伝えてしまったら離れた意味がない。彼が仕事に集中できるようにしたくて、やっぱりひとりで生もうと決めた。

 するといつの間にか、不安よりも喜びのほうが上回っていた。彼との宝物が自分の中に残っていたことと、それを大事に育てていくという新たな生きる目標を見つけられたから。

 この子さえいれば私は幸せだ。彼との甘い日々をもう一度過ごしたいなんて、贅沢な望みはいらない。