通り過ぎていく人も怪訝そうに見ているのに気づき、彼はいたたまれなくなったのか「それじゃ」とぼそっと告げてそそくさと帰っていった。
ほうっと胸を撫で下ろす私に、妃さんが心配そうに寄り添ってくれる。
「芽衣子さん、大丈夫ですか?」
「はい……! すみません、変なところをお見せして」
「いえ、たまたま取材陣をエントランスまで迎えに来たところだったんです。タイミングが合ってよかった」
そう言って微笑む彼女は、本当に王子様のようでちょっとときめいてしまう。スマートに助けてくれた姿もカッコよかった。
妃さんはすでに遠くなった山中さんの背中を見やり、長い前髪を掻き上げて呆れたようなため息を漏らす。
「部長がなにを言ってたのか、なんとなくわかります。社内でも不満タラタラみたいで、いい話聞かない人なんで。特別仕事ができるわけでもないのに無駄にプライドが高いから、いつも誰かのせいにするんですよ」
「だから給料を大幅カットされたんですかね……」
今しがたの恨みを込めて呟くと、妃さんがぱちぱちと瞬きをする。そして、おかしそうにぷっと噴き出した。
「言いますね、芽衣子さんも。その通りですよ」
お互いに軽く毒を吐いて、クスクスと笑い合った。
ほうっと胸を撫で下ろす私に、妃さんが心配そうに寄り添ってくれる。
「芽衣子さん、大丈夫ですか?」
「はい……! すみません、変なところをお見せして」
「いえ、たまたま取材陣をエントランスまで迎えに来たところだったんです。タイミングが合ってよかった」
そう言って微笑む彼女は、本当に王子様のようでちょっとときめいてしまう。スマートに助けてくれた姿もカッコよかった。
妃さんはすでに遠くなった山中さんの背中を見やり、長い前髪を掻き上げて呆れたようなため息を漏らす。
「部長がなにを言ってたのか、なんとなくわかります。社内でも不満タラタラみたいで、いい話聞かない人なんで。特別仕事ができるわけでもないのに無駄にプライドが高いから、いつも誰かのせいにするんですよ」
「だから給料を大幅カットされたんですかね……」
今しがたの恨みを込めて呟くと、妃さんがぱちぱちと瞬きをする。そして、おかしそうにぷっと噴き出した。
「言いますね、芽衣子さんも。その通りですよ」
お互いに軽く毒を吐いて、クスクスと笑い合った。