それよりも、私はなにも関わりがないのだとわかってもらいたくて思わず声を荒らげる。

「彼からお金をもらったことなんて、絶対にありません!」
「ああ、僕たちも噂を信じているわけじゃないよ。一応芽衣子さん本人に確認しておきたかっただけだ。嫌な気分にさせてすまないね」

 お義父様が優しく宥めてくれて、なんとか気持ちを落ち着ける。

「いえ……。こちらこそ、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「芽衣子さんが謝ることじゃないさ」

 肩を落として頭を下げる私に対し、お義父様はどこまでも優しい。お義母様も、ツンとして腕を組みながらも「そうよ」とかばってくれる。

「皆好きなのよね、こういうくだらないスキャンダル。とにかく、すべてはとんでもないクズだった益子が元凶なのは間違いない。相当うまく隠蔽してお金を使ってたみたいだけど、悪事に気づけなかったのは痛いわね」
「ああ……。でも、どんな会社でも横領を完全に防ぐのは難しいからね」

 苦々しい顔をするお義父様の言葉に、お義母様も小さくため息をついて頷いた。