今回はなんの問題もなくスムーズに羽田空港に到着し、誠一さんのラストフライトは終了した。飛行機を降りる際、CAさん伝いに機長へのエールや感謝を伝えているお客さんもいて、私まで胸が熱くなった。

 私はこの後、本人に直接感想を伝えよう。いや、感想だけでいいのかな。昨日の電話でなぜあんなことを言ったのか弁明するのと、告白もしたほうがいいのでは……。でも、告白するなんて初めてだし、どのタイミングでどう言えばいいんだろう!?

 バンクーバーから帰国した時と同様、到着ロビーの椅子に座って悶々と葛藤する。花束を抱えて難しい顔をする私を見て、周りの人が怪訝そうにしている気がする。

 なかなかクルーの方々が現れず、ひたすら悩んでいると、やっと制服姿の皆さんがやってきた。CAさんの後にパイロットのふたりが見え、緊張が一気に高まるのを感じながら花束を手に立ち上がる。

 誠一さんもこちらに気づいて目を見張った瞬間、私は思わず固まった。彼の手にはすでに豪華な花束が持たれていたから。

 そっか、きっと降機したところでもうクルーの皆さんから渡されたんだ。その可能性もあるということがすっかり頭から抜けていた。プレゼント被りはなんとなくいたたまれない……!