揺れることもなく快適な機内からひたすら景色を眺め、あれこれ思いを巡らせているとあっという間に東京が近くなってきていた。
もうすぐ着陸態勢に入るのかなという頃、コックピットからアナウンスが入る。流れてきたのは妃さんの声で、軽い挨拶の後に定型文ではない言葉が続く。
《実はただいま乗務しております羽澄機長が、本日をもってパイロットを引退されます。新しい道に進む機長へ、ご搭乗の皆様からも応援の気持ちをお送りいただけたら嬉しく思います》
これは妃さんのサプライズだろうか。ドキリとすると同時に、客席からも驚きの声が控えめにあがった。《 それでは、機長からひと言お願いいたします》との振りがあった後、しばらくして誠一さんの声が聞こえてくる。
《本日はご搭乗ありがとうございます。機長の羽澄です。私のような若輩者が引退のご挨拶をさせていただくのは恐縮ですが、後輩に無茶振りされましたので少しだけ失礼いたします》
誠一さんらしい、皆の心を掴む挨拶だ。クスクスと笑ったお客さんたちは、すぐに静かになって彼のアナウンスに耳を澄ます。
もうすぐ着陸態勢に入るのかなという頃、コックピットからアナウンスが入る。流れてきたのは妃さんの声で、軽い挨拶の後に定型文ではない言葉が続く。
《実はただいま乗務しております羽澄機長が、本日をもってパイロットを引退されます。新しい道に進む機長へ、ご搭乗の皆様からも応援の気持ちをお送りいただけたら嬉しく思います》
これは妃さんのサプライズだろうか。ドキリとすると同時に、客席からも驚きの声が控えめにあがった。《 それでは、機長からひと言お願いいたします》との振りがあった後、しばらくして誠一さんの声が聞こえてくる。
《本日はご搭乗ありがとうございます。機長の羽澄です。私のような若輩者が引退のご挨拶をさせていただくのは恐縮ですが、後輩に無茶振りされましたので少しだけ失礼いたします》
誠一さんらしい、皆の心を掴む挨拶だ。クスクスと笑ったお客さんたちは、すぐに静かになって彼のアナウンスに耳を澄ます。