でもこんな些細なことで妬んでいたらダメだ、いい妻にならなくちゃ。そう自分に言い聞かせ、隠していた妃さんの言葉もあえて伝えることにした。
『誠一さんのこと、一番尊敬していて憧れてるパイロットだって言ってましたよ』
《妃が? 機長が誰でも気にしてなさそうだったのに、そんなしおらしいこと言ってたのか》
ふっと笑いが混じる声から、きっと嬉しいのだろうとわかる。それはそうだ、後輩から慕われて嬉しくないはずがない。
《あいつは本当に空が好き で、操縦技術のセンスもあるからいい機長になれると思う。最後のフライトが彼女とっていうのは驚いたが、安心して飛べるよ》
誠一さんが妃さんを信頼しているのも伝わってきて、抑えようとしていた黒い感情がみるみる湧き上がってくる。やっぱり彼女の言葉は隠したままでいたほうがよかったかなと、すぐに後悔した。
たとえ仕事の関係でも、彼が他の女の子と親しくする姿を想像したくない。今回だって本当は一緒に飛ばないでほしい。──彼が好きだから。
はっきり自覚した想いが、私の口を勝手に開かせる。
『……嫌です』
《え?》
『誠一さんの隣は、私がいい』
『誠一さんのこと、一番尊敬していて憧れてるパイロットだって言ってましたよ』
《妃が? 機長が誰でも気にしてなさそうだったのに、そんなしおらしいこと言ってたのか》
ふっと笑いが混じる声から、きっと嬉しいのだろうとわかる。それはそうだ、後輩から慕われて嬉しくないはずがない。
《あいつは本当に空が好き で、操縦技術のセンスもあるからいい機長になれると思う。最後のフライトが彼女とっていうのは驚いたが、安心して飛べるよ》
誠一さんが妃さんを信頼しているのも伝わってきて、抑えようとしていた黒い感情がみるみる湧き上がってくる。やっぱり彼女の言葉は隠したままでいたほうがよかったかなと、すぐに後悔した。
たとえ仕事の関係でも、彼が他の女の子と親しくする姿を想像したくない。今回だって本当は一緒に飛ばないでほしい。──彼が好きだから。
はっきり自覚した想いが、私の口を勝手に開かせる。
『……嫌です』
《え?》
『誠一さんの隣は、私がいい』