日が昇り始めた春の早朝、セットされていない髪がかかる綺麗な寝顔を眺め、名残惜しさを感じながらベッドを抜け出す。

 昨夜は彼にたくさん愛でられて熱く火照っていた素肌が、ひんやりとした朝の空気で冷やされるのを感じながら、脱ぎ散らかした服を手に取った。

 着替えてリビングダイニングに向かい、昨日夕飯として作った料理をテーブルに並べる。彼が帰宅してすぐにお互いその気になり、疲れ果てるまで抱き合ってそのまま眠ってしまったから食べ損ねてしまったのだ。

 そうしているうちに、最愛の旦那様も寝室から出てきた。まだ眠そうな顔で微笑み、私を優しく抱きしめてキスをする。付き合いたての恋人同士みたいに。

 甘く愛し合った余韻が抜けていないような、幸せな朝。この時間がずっと続いてほしいと願ってしまうけれど、私はもう決めた。

 優秀で私にはもったいないほど完璧な彼でも、まさか幸福な日々が終わりに近づいているとは予想していないだろう。