一章:老

この世界では、二つの種族に分けられている。
その一つは、『巨族』、二つ目は『喰族』と呼ばれている。
そして、そのどちらでもない、人々のことを、『血汚族』と。
『血汚族』は、そになの通り、”血の汚れたもの”という意味だ。
そして、この世界では、『血汚族』は、国民として、見られてはいない。
いや、むしろ、『奴隷』とでも言った方がいいのかもしれない。

  そして、そんな世の中に生まれてきたものが俺だ。

元々、「血汚族」の体には、奴隷の証かのような痣がある。
その大きさは人によってまちまちだが、無いものはいない。
そして、俺には、痣がある。左頬を覆いつくすかのように大きい痣が。
でも、俺は「血汚族」ではない。
そう思いたいのではない、そうなのだ。