現在ー…




ハッとして顔を上げた。 

いけない、眠ってしまっていたわ。

ローズヒップティーを飲み終えたティーカップもそのままに机に顔を伏せるように寝てしまっていた。

「…。」

…久しぶりに昔の夢みてしまったわ、亜由ちゃんに会ったからかしらね。

懐かしいわ、あの頃のことなんて思い出すこと何もないのに。

「あ、大変…!」

メイクもそのままじゃない、お肌に悪いわこんなの…!


―ピンポーン… 


チャイムが鳴った、メイクを落そうと洗面所に向かおうとした足を玄関へ向ける。

誰かしら?こんな時間に…

「はい」

まぁ1人しかいなわよね。

私に会いに来る人なんて、他にいないもの。

「崎本先生」

にこりと微笑んで見せて、部屋の中に招き入れる。

「架純、お疲れ」

足を踏み入れると同時メガネを外して、スーツの胸ポケットに入れる。傷付かないのかなっていつも思うけど、特には気にしてないらしい。 

でもそんなこと一瞬でどうでもよくなるんだけど。

そんなメガネの傷なんか考える暇なくなるから。


「…―っ!」


バタンッ、とドアが閉まれば重なり合う唇に温度を感じて体中に熱を帯びる。

この瞬間を待っていたようにしがみついて、離さない。


だからもう何もいらないの。


もう誰も好きにならない、一生恋はしない。


もうずっと先生の中、満たしてくれるのはここしかなくて。



今も満たされ続けてるから、失いたくないのー…