両手で顔を覆って、肩を震わせながら止まらない涙を流す。この涙を崎本先生が救ってくれるとは到底思いえないけど、せめて涙を止めてくれる理由になってくれたらいい。

「西山」

静かで冷静な声だった。

「俺は…西山が思ってるやつじゃねぇよ?」

「知ってます、そんなこと…」

「知っててそーゆこと言うんだ」

「はい」

崎本先生は少し笑ってた。

呆れてたのかな、呆れるよね…


わかってて私は飛び込んで来たんだから。


「西山は俺とどうなりたいの?」

「どうなり、たい…?」

顔を上げて崎本先生の顔を見た。

じっと私の方を見て、カチャッとメガネをかけ直した。

なんて圧力だ、ここへ来てそんな顔するんだ。


本当悪い人ですね、とても先生とは思えません。


だけど、もう私は…


「先生でいっぱいにしてほしいです…っ」


もう何も考えたくない。

全部どうでもいいから、だから…



頭のてっぺんから足の先まで先生で満たしてください。

私を満たしてください。