階段を駆け下りる、溢れる涙を拭いながら。

でもこれは悲しい涙でも寂しい涙でもない。


自分に絶望しただけ。


だってほら、私が行く先は1つしかないんだものー…


「お、西山。今日は早いな」

いつもの資料室、気付けばここが私の居場所だった。

お弁当を食べたらここに来て他愛もない話をして時には笑って、最後には…

「西山?どうした、そんな泣いて」

ボロボロ涙が止まらない、大粒の涙がたくさんこぼれて来て、視界もよく見えないくらいに。

「崎本…先生…」

もう止められなくて、涙も感情も。

溢れて溢れて止められない。

バタンッとドアが閉まった瞬間、決壊したダムのように流れていく。


「先生…、好きです…っ」


走って来たから髪も制服もぐちゃちゃで、涙のせいで顔もぐちゃぐちゃで、こんなこと口にするつもりなかったのに。


「好きなんです…!私、崎本先生のこと…っ」


先生のことが好きだなんて馬鹿げてる、

こんなこと言ってる自分が嫌になる、

だけど引き返せなかった。


亜由ちゃんを捨てでもここへ来たかった。


「崎本先生が好きです…」


私が欲しいのは、崎本先生だから。