「ねぇ架純ちゃん、亜由知らない?」

教科書をスクールバッグに入れて帰る支度をしていると芝ちゃんが訪ねて来た。

「帰ろうと思ったんだけどどっか行っちゃって…、知らない?」

「えぇ…わからないわ」

ホームルームも終わってあとは帰るだけ、部活のある人はいるけど亜由ちゃんは帰宅部だもの…何か用事があったのかしら?

「そっか~、じゃあ亜由見たら先帰ったって言っといてくれない?」

「えぇわかった、伝えておく」

ばいばいと芝ちゃんに手を振った。

私も帰宅部だけど授業が終わったら最近は図書室に通っているから。

資料室で借りた本を読んだらおもしろくて、それ以来本を読むことにハマってしまったのよね。本の種類なら資料室より図書室のが断然多くて日々通うようになっちゃった。自分で翻訳するのも、結構楽しくて。

スクールバッグを肩にかけて階段を下りる、2階の図書室へは何度行ってもどの道が近道かよくわからなくて毎回違った通りを歩いちゃうのよね。

今日はこの廊下をまっすぐ行ってみようかしら…

「あ」