掃除を手伝った資料室を開けてもらう、あの時よりはマシだけどまだまだ掃除し甲斐のある部屋ではあった。

「貸してほしい本って何?どれのこと?」

崎本先生がガラガラガラッとドアを閉める、人目に付かないところにある資料室だけどピシャッと閉められたドアに少しだけドキドキして。

「あの、こないだ見たやつなんですけど…あ、これです!」

本棚から1冊の本を取り出す、アンティークな古びた本はいっそう私をドキドキさせる。

「これ表紙が可愛いなぁって思ったんです。えっと…スノーホワイト…アンドセブン…ド…?」

Snow(スノー) White(ホワイト) and(アンド) the(ザ) Seven(セブン) Dwarfs(ドゥウォーフズ)

隣に並んだ崎本先生が私からスッと本を取って、パラパラとめくった。

「白雪姫だな」

白雪姫…ってことはDwarf(ドゥウォーフ)は小人?英語で書くとこうなるんだ。

「なんで?読むの、これ」

すぐに本は返って来て私の手元に戻って来た。

「はいっ!」

「西山英語出来たっけ?」

「全然できません!」

「だよなぁ」

崎本先生がメガネを外した、汚れが気になったのかレンズを見て目を細めて。

「だからこれから勉強します!」

だから読んでみたいと思った。

ぎゅぅっと本を抱きしめる、崎本先生を見つめて。

「これからはちゃんと授業受けます!寝ません!」

口角を上げてくすっと笑った。

「いい試みじゃん」

メガネをしてない素顔の崎本先生は、どっちの崎本先生ですか?

私の胸は高鳴ってしょうがないです。