「私が悪いんですか!?いじめをした方よりされた方が悪いってことですか!」

だからついムキになっちゃって、らしくもない大きな声を出してしまった恥ずかしい。

「そうは言ってねーよ」

崎本先生は至って冷静でもくもくと草を抜いている。

「西山もそいつらのこと、嫌ってたんだろ?」

「……。」

「いじめはよくねぇよ、そりゃする方が悪い。でも西山はどうだったんだよ?」

それは…

そんなの…

その通りだけど。

「…よく知らない私のことを浮いてるとか不思議ちゃんとか空気読めないとかそんな勝手なこと言うような人好きになんかなれません」

「だーかーらー、それが西山も一緒だって言ってんの!」

「何が一緒なんですか!」

「西山もそいつらのことよく知らねーだろ?知りもしないで嫌ってるんだろ?」

崎本先生がこっちを見たから、必然的に目が合ってしまって。それは思ったよりも近かった。

「高校入学して3ヶ月、自分から話し掛けたことあったか?クラスメイトの名前呼んだことあったか?おはようって言ったことあったか?」

メガネの奥から見る崎本先生の瞳が突き刺さるみたいで目を逸らしてしまった。俯くみたいに、取る気のない草を見て。