「これは…」

放課後の裏庭、ぽつーんと真っ黒な日傘が似合わなくて。

「俗に言ういじめかしら?」

一応スカートの下にはジャージを履いて来たけど、クラスメイトが誰もいなかった。声をかけて来た名前の知らない彼女もいなかった。

「まぁ…1人のが楽よね」

うん、と頷いてすぐに頭を切り替える。

1人で出来ないことだってないんだもの、誰とも会話しなくて言い分楽でいいじゃない。

一呼吸置いて、生い茂る草の前にしゃがみ込む。

別に騙されて掃除をすることなんか何とも思わない。

そんなのいちいち相手にするに値しないから。

むしろこっちの方がいいくらい。

誰もしないことをしてるんだから。


だってみんなと同じなんて満たされないじゃない。

私は私らしくここにいたんだものー…


「西山さん、カマぐらいはあった方がいいと思いますよ」

後ろから声がした。この声はすぐにわかる。

「崎本先生!」

立ち上がって振り返ると崎本先生がいた、スーツ姿で涼しい顔をして。

「…先生も持ってないじゃないですか」

私以上に掃除に対するやる気が感じられなかった。

「てゆーか掃除する格好じゃないですよね!?」

キュッと閉めたネクタイが私の格好と合わな過ぎて。私のフリル付きスカートにジャージの組み合わせもないんだけど。