「声だけじゃねぇだろ?」

肩が触れそうになった。
少し上から私を見てる、ふって息を漏らすように笑って。

「俺モテるんだぞ、知らないだろ?」


ドクンッ 


と心臓に破片が刺さった。

チクッと胸が痛んで、吸った息を吐くのを忘れてしまった。

「西山。高校の授業なんてめんどくさいだけかもしんないけど、そんなめんどくさい授業受けられるのも今だけだから」

崎本先生はしゃがみ込んでまたダンボールから本を取り出した。

「受けといた方がいい、そのめんどくさいがどこかで役立つから」

「…何の役立つんですか?」

「それは西山が高校を卒業した時にわかるから」

「今めんどくさいと思いましたよね?」

「……。」

また隣に並んで本を並べ始める。

資料室って言うだけあって取る本取る本英語で書かれた参考書みたいな本ばかりで、読もうと思っても全く読めなかった。
でもたまに可愛い童話のイラストが表紙の本があって、これは少し読みたいと思った。英語、勉強してみようかなって。