6月、じめじめした日が続くとどうしても思い出してしまうの。
「架純ちゃん!」
名前を呼ばれて振り返る、それは懐かしい声だった。だけど思い出せなくて。
「えっと…」
「久しぶり!亜由だよ、木下亜由!ほら、高校1年の時同じクラスだったじゃん!」
「あぁ、木下さん」
「元気だった?」
「えぇ…」
仕事を終えて家に帰る途中、スーツ姿の同級生に会った。たぶん彼女も仕事帰り。
「そんな格好してるから二度見しちゃって誰かと思ったら知ってる人だったから!」
人通りの多い駅前、確かにこの格好は少し合わないかもしれない。もう7時を過ぎたところ、職場から帰宅する人がほとんどだものね。
「架純ちゃん何の仕事してるの?それは仕事関係…?」
「趣味なの、これは」
木下さんがぴくっと右の口角を上げたのがわかった。それがどんなことを示してるのかもわかってる。
「そ、そうなんだ…あ、高校以来だよね!今彼氏とかいる!?今度そんな話しようよ~!」
日が暮れて辺りは真っ暗、まぁここは駅前だからたくさん光が溢れてるけど。
「ごめんなさい、その話は出来ないわ」
でも私は暗闇のが好きなの、何も写さない真っ暗な闇の方が。
「私、もう人を好きにならないって決めたから」
揺るがない瞳で、そんな顔したら彼女がどんな顔をするかわかっていたけど。でもこれでいいの、そしたらもう私の名前を呼ぶこともないでしょ。
「じゃあ、これで」
ぺこっと軽く頭を下げて、彼女の隣を通り過ぎる。
相変わらず感じ悪っ、かすかにそう聞こえたけど気にせず通り過ぎた。どう言われたって構わないし、何を言われても私は私だから。
「架純ちゃん!」
名前を呼ばれて振り返る、それは懐かしい声だった。だけど思い出せなくて。
「えっと…」
「久しぶり!亜由だよ、木下亜由!ほら、高校1年の時同じクラスだったじゃん!」
「あぁ、木下さん」
「元気だった?」
「えぇ…」
仕事を終えて家に帰る途中、スーツ姿の同級生に会った。たぶん彼女も仕事帰り。
「そんな格好してるから二度見しちゃって誰かと思ったら知ってる人だったから!」
人通りの多い駅前、確かにこの格好は少し合わないかもしれない。もう7時を過ぎたところ、職場から帰宅する人がほとんどだものね。
「架純ちゃん何の仕事してるの?それは仕事関係…?」
「趣味なの、これは」
木下さんがぴくっと右の口角を上げたのがわかった。それがどんなことを示してるのかもわかってる。
「そ、そうなんだ…あ、高校以来だよね!今彼氏とかいる!?今度そんな話しようよ~!」
日が暮れて辺りは真っ暗、まぁここは駅前だからたくさん光が溢れてるけど。
「ごめんなさい、その話は出来ないわ」
でも私は暗闇のが好きなの、何も写さない真っ暗な闇の方が。
「私、もう人を好きにならないって決めたから」
揺るがない瞳で、そんな顔したら彼女がどんな顔をするかわかっていたけど。でもこれでいいの、そしたらもう私の名前を呼ぶこともないでしょ。
「じゃあ、これで」
ぺこっと軽く頭を下げて、彼女の隣を通り過ぎる。
相変わらず感じ悪っ、かすかにそう聞こえたけど気にせず通り過ぎた。どう言われたって構わないし、何を言われても私は私だから。