あんのお父様は、なんつー迷惑なことを!!

「すみませんすみません、本当にご迷惑を! これはつまらないものですが……!」

 郵便屋さんにお詫(わ)詫びとチップで銅貨を数枚手渡して、ぺこぺこと頭を下げると、郵便屋さんは笑いながら「いやいや、無事に届けられてよかったですよ」と笑いながら去っていった。

 ……まったくもう、お父様ってばなにを考えているのよ!!

 お父様が相変わらずすぎてホッとしていいのか嘆いていいのかわけがわからなくなる。
 わたしはひとまずチケットを買うのをやめて、駅の隅っこでトランクの上に腰を下ろすと、手持ち鞄(かばん)鞄の中からペーパーナイフを取り出して封を切った。

 そして、手紙の文面に視線を落として、くわっと目を見開く。

 ……な、な、な、なんでこんなことになっているの――!?

 手紙には、お父様のちょっと癖のある文字で、こう書かれていた。

 ――ごめーん、没落しちゃった。今は王都のこの住所の小さな家で暮らしているから、こっちに帰ってきてね。父より。

「あほかぁあああああああああー!!」

 わたしはつい、ここが駅であることも忘れて大声で叫んでしまった。