……うん。まだ全然余裕ね。

 こうして自分の魔力残量を把握するのも重要なことだ。

 これならこの部屋の患者を全員癒した後で、他の部屋にも向かえるだろうと思ってホッとしたわたしは、部屋の入り口にもたれかかるようにフリードリヒ様が立っていることに気が付いて目を見開く。

 目が合うと、フリードリヒ様が藍色の瞳をわずかに細める。

「私のことは気にしなくていい。続けなさい」

「は、はい……!」

 見られていたなんて、とドキドキしたけれど、これは試験なのだ。試験監督であるフリードリヒ様が見に来たってなんら不思議ではないのである。

 わたしはフリードリヒ様の視線に緊張しながら、次の患者へ移った。