「わかったわ」

 わたしと同じ考えなのか、同じく四階に上がる受験者がふたりいた。

 ただし、四階にも何部屋もあるため、同じ部屋には入らない。

 わたしが入った部屋には四人の患者が寝ていた。

 わたしと試験監督であるミヒャエラさんが入室すると、患者たちの視線が一様にこちらに向く。誰もが期待した目でこちらを見ていた。

 ……病気や怪我で長く苦しみたい人なんていないもんね。

「まずはこの部屋にします」

 わたしが宣言すると、部屋の中にいた人たちがホッと笑ったのがわかる。

 わたしはさらに安心させるように、「全員、順番に診ますから」と伝えてから、入り口に一番近いところに寝ていた三十半ばほどの男性に近付いた。

「失礼しますね」

 配られたリストにはどのくらい入院しているのか、どんな症状があるのかが書かれていたが、なんでも魔法で治すこの世界では詳しい病状までは書いていない。

 というか、レントゲンも血液検査もないから、具体的に特定できないと言った方が正解だ。