わたしの担当はミヒャエラさんという三十歳くらいの女性聖魔法騎士だった。

「マルガレーテ・ハインツェルです。どうぞよろしくお願いいたします」

「留学していたコーフェルト聖国の学園でも優秀な成績を収めた人ね。楽しみにしているわ」

 ミヒャエラさんがにこりと微笑む。

 国費留学生の成績は国に報告される。その情報が聖魔法騎士団にも共有されているのだろう。

「それで、まずはどこに行くのかしら?」

 誰を治療するのかも、何人治療するのかも、受験生にゆだねられている。

 わたしは配られた名簿を確かめた。

 ……差別するわけじゃないけど、重傷者やお年寄り、もしくは子どもを優先したいわよね。

 重傷者は、それだけ切迫している。治療の順番が間に合わず命を落とすことだってありえるから、できれば優先的に診たい。

 また、お年寄りや子どもは体力的な問題もあるから、長く病気や怪我で苦しませたくなかった。

「まずは、重症患者がいる四階に向かいたいです」