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わたしがランデンベルグ国に戻ってきて一カ月が経った。
今日は聖魔法騎士団の入団試験の日だ。
ちなみに、お金儲けのためのアイディアグッズ製作の第一弾は、木があれば作れる孫の手にしておいた。孫の手をそのまま商品名にしてもこの世界で理解されるかはわからなかったので、商品名は「猫の手」にしようと思っている。
その猫の手は、現在お父様がせっせと作っては試行錯誤を重ねていた。お父様は能天気だが、昔から手先は器用なので、ああいった細かい作業に向いている。
ちなみに試作一号はお母様が気に入って愛用していた。
これ、気持ちいいわね~なんて言っていたから、完成すれば多分売れる……はずだ。
適当なものを作って評判が悪かったりしたら次が売り出しにくくなるので、お父様には納得のいくクオリティに仕上げてもらうように伝えてある。
だが、いくら商売を始めたところですぐに上向くとは思っていないし、苦戦する可能性だって充分にある。
そのため、生活費は別で確保しておかなくてはならないので、今日の聖魔法騎士団の入団試験には、絶対に落ちるわけにはいかなかった。
……一年間しっかりコーフェルト聖国で勉強したし、成績も上位だったんだもの。大丈夫だって思いたい。