「ちなみに借金っていかほど……?」

「えっと、金貨一万枚?」

 ……つまり十億円ですね!!

 この馬鹿父!!と怒鳴りたくなるのをぐっと我慢する。

 とんでもないことをしでかしてくれたお父様だが、エッケハルトのために父親らしいことをしようと頑張ったのだ。空回りどころかそれ以下だが、その気持ちは汲んでやらねばなるまい。

 ……しかし、金貨一万枚の完済か。領地からの収入なしで、どうやって返せと?

 借金を返済したら領地を返してくれると言っているが、わたしからすればどうあっても返す気はないように思えるけど。

 いやでも、領地を奪われたままではいられない。なんとかして返済しなくては。

 わたしはキッとお父様を睨んだ。

「お父様、借金返済のためには、お金を稼がなくてはダメなのよ」

「私もそう思ったんだけどね~」

「パパってば商売の才能がないのよ~。逆に損をしちゃったから、もうやめたら~って言ったの」

 ……なるほど、すでに挑戦して損を出したと。

 お母様のドレスや宝飾品などもあったはずだから、いくら借金を作って領地と邸を没収されたからといっても、一年でこんなに困窮しているのはおかしいと思っていたけど、どうやらそういうことですか。商売に失敗して、それらを売ったお金まで消し飛ばしちゃったんですね。

 でも、お金を稼がないことには始まらない。

 わたしは来月の聖魔法騎士団の入団試験を受けるけど、その給料だけじゃあ金貨一万枚を返済するのは到底不可能だ。