いやもうほんと、がくっと膝をつきそうだよ。

 家に帰ったら家が潰れていて、お父様の妙な手紙を受け取って慌てて王都に飛んで来た娘に対して、第一声がにこにこ笑顔でそれですか!

「え!? 姉様帰ってきたの~?」

 お母様の後ろから、弟のエッケハルトが小走りでやってきた。

 きらっきらの金色の髪に青い瞳のうちの弟は、物語の王子様のようにかわいらしい。一年前よりだいぶ身長が伸びたみたいだ。

 十歳でこれだから、数年後はさぞイケメンに育つに違いない。お姉ちゃんは今から君の将来が楽しみで仕方がないよ。

「姉様おかえり~!」

 お母様を押しのけてわたしの腰にぎゅうっと抱き着いたエッケハルトにほんわかと癒される。

 わけがわからないこの状況だが、弟のかわいさは不変だ。それだけが救いかもしれない。

「ただいま、お母様。いろいろ聞きたいことがあるんだけど……、お父様は?」

「ああ、パパは裏の畑にいるわよ~」

 裏?

 畑!?