汽車に揺られながら、わたしは必死に頭痛と不安と戦っていた。

 ――ごめーん、没落しちゃった。今は王都のこの住所の小さな家で暮らしているから、こっちに帰ってきてね。父より。

 というお父様の能天気な手紙を読んだ時はあきれると同時に怒りが込み上げてきたが、一周回って今は不安しかない。

 ……没落って、どういうことよ!

 ハインツェル伯爵家は、ものすごく裕福というわけではなかったが、領地経営はうまくいっていたし、借金も抱えていなかったはずだ。

 それが、どうしてたった一年でこんなことになっているのだろう。

 手紙の能天気さから、元気にしているのは間違いないだろう。

 けれど、元気だからいいというわけでもない。

 ……伯爵家が没落って、大事だからね!!