『芹原 優か』



ゾッとするほどの冷気と殺気のこもった第一声。


ほー。

冷静だな。


アレを捕られて、荒れ狂ってるかと思ったが。



しかし年上を呼び捨てとは、とことん気にくわない餓鬼だ。



コイツが"アレ"を見る目も、呼ぶ声も。


何もかもが不快だ。



「人のことを呼び捨てにする前に自分が名乗れ。常識知らずが」



小馬鹿にした言い方で聞く。


前に会ったときに聞いたような気もするが、お前の名前なんか覚えてもいない。



『テメェに名乗る名前なんざねぇ。今すぐハイネを返せ』


「返せ?何言ってんだ。"アレ"は俺の物だ。お前が勝手に連れていったんだろうが」


『ふざけるな。ハイネは物じゃねえ。俺達の大事なかけがえのない家族だ』



どこまでも曇りなき声の断言に、イライラが増す。


こっちが有利のはずなのに。



「それはお前が思ってるだけだろう?コイツは…」


『オイ』