ゴブさんが殴られ、蹴られる重い重い音。



下卑た多数の笑い声。



そして………飛び…散る……ハゲさん……の血…。



鮮やかな"赤"―



「あっ…あ…」


『そいつらを壊されたくなければ、一緒に来い。"高遠ハイネ"』


『!?』



"チビ姫"ではなく、呼ばれたのは"自分"の名前。


それだけでわかる。


こいつらの目的は"黒豹"ではない。


"あたし"だ。



あたしのせいで、ゴブさんとハゲさんが…。



カタカタカタカタ…。



暖房がきちんと効いてる室内で、寒くもないのに身体が震え出す。


二人は無事だろうか…。


最後に見たのは…ぐったり動かない二人。



二人が…。



「ああ…あ…あ…」



あたしのせいだ…。

あたしの…。



無意識に助けを求めるように胸元に手をやった、その時。



ガチャ。


ノックもナシに扉が開いた。