「俺が来た理由はあんたが一番よくわかってんだろ?兄貴は何処だ?」


「ハァ!?そんな…」


『聞かれたことだけ答えろや』



ゴガッッッ!!!!



「………っっ!?」



誤魔化そうとする女の顔スレスレに拳を放ち、壁を殴り付ける。


この女と長く居る気はねぇ。



『防犯カメラにバッチリあんたが映ってたよ。俺らが行った後も長い間近くをウロウロしてたな?兄貴を呼び寄せたのはあんただ。バレてんだよ』



蓮が朝早く持って帰ってきた近隣の店の大量の防犯テープ。


それの所々に映る、この女。


チビ助を引き取りに行くときに一度会ったと八雲が覚えてた。



そして、その兄貴がチビ助に異様な執着をみせてたことも。



「もし…そうだとして…」



顔を真っ青にして、震える声で、それでも俺を睨み付けながら女が言う。



「"アレ"は、あたしたちのイトコよ?久しぶりに会ったから話そうと思っただけ。何か悪いの??」



"アレ"だと!?



屈託なく笑うチビ助。


可愛い俺の"妹"をアレ呼ばわりか…。



『……………』



怒りのまま、もう一度壁を殴ろうとすれば。



バッシーーン!!!!



「……竜ちゃん」



止められた。



「何やってんだ桂。自分を傷つけるんじゃねえよ。チビが泣くだろうが」




俺の拳を握り、苦笑する竜ちゃんが居た。