さっき握り締めようとして出来なかった、ソレ。



「返してっっ!!大事な物なの!!」


「ハッ!?大事!?こんな物が!?」




"黒豹"の証。


八雲さんがあたしのためだけに作ってくれた"宝物"



「やめてっっ!!!!」



取り返そうと無我夢中で優さんに掴みかかれば、ホイッスルが絨毯の上に叩きつけられる。



転がるようにベッドから下りるのと、優さんが足を上げるのが同時で。



間に合えっっっっ!!!!



「うぁぁぁあっ」



激痛が全身に走る。



あたしの伸ばした手の方が少し早くて。



ホイッスルを両手で包み込んだ所で足が降り下ろされた。



!!!!



「〜〜っっ」




ドカッッ!!と嫌な音が部屋中に響き手ごとホイッスルを踏まれる。




「あーあ。何やってんだ」


「ぅぅぅあ…」


「胸くそ悪い」



ホイッスルを胸元に抱き寄せ体を丸めるあたしに、感情の全くこもらない声で優さんは吐き捨て、部屋から出て行った。



ガチャン!!



そして外側から鍵をかけられた。