ハイネside



「髪切ったのか…。綺麗な長い髪だったのに」



何故ここに?

という、あたしの問いには答えてもらえず無表情で近づいてくる優さん。


怖い…。

この人は…。




「……!!??」



ないっっ!!



「前髪も…」


「っっっくぁっ!?」



大事なものがなくて、動揺した隙に前髪を鷲掴まれた。



ギリギリと容赦ない力に、頭皮が悲鳴をあげる。



「アイツと同じ」



痛くて、泣きたくないのに涙が溢れる。



アシンメトリーの前髪は八雲さんとお揃いで、桂が切ってくれた。



「なんで、ここに連れてきたかって?」


「うっ…」



すぐ目の前に優さんの顔。


喜色を浮かべた目が三日月の形に細まる。



冷たい、冷たい目。



「お前は、あの時から俺の物だ」


「っっ!?なっ」


「俺の物を取り返して何が悪い?」


「痛っっ」



更に手に力が込められ、我慢が出来ずに声が出た。



「こんな物まで、付けられやがって」


「あっっ!!」



あたしの髪から手を離した優さんの手には……

ホイッスルがあった。