ハイネside


父と母をいっぺんに喪った、あたしは施設に入るはずだった。


母は早くに両親を亡くしていて、天涯孤独。


父は、そんな母との結婚を反対され家を出た、と言ってた。



だからあたしは、お祖父ちゃんお祖母ちゃんに会ったことはない。



ましてや、親戚なんて居るのかさえもわからない。


二人の葬式にも親族の席には誰も来なかった。


それでも、父と母は友達や仕事仲間に恵まれていたから、寂しい葬式になることはなくて。


色々な人に、手伝ってもらい葬式も終えた所で、父の親友の人が、あたしを引き取りたいと言ってくれた。



あたしも、その人のことは良く知ってるし、嬉しかった。


ありがたかった。


でも。



臆病なあたしは迷惑をかけて、いつか邪魔だと…要らないと、言われるのが怖くて。



また、失うのが怖くて。


お断りした。