「こんな所で一人で寝るとか、バカか?犯してって言ってるようなもんだろうが、ドバカが」





無表情で、凍えるほどの冷たい声で、そう言われた。



でもね。

でも。



名も知らない、初対面のあたしに。



掛けてくれた上着も。



隣に座ってくれて貸してくれた肩も。



あたしを見下ろす、切れ長の綺麗な瞳も。



全てが暖かかったこと。



"あの日"のことは、空の色も寒さも全部覚えてる。














八雲さん。



貴方に初めて逢った、その日に。



その瞳に、その優しさに。




あたしは

恋に堕ちたのです。