私が今挨拶したのは、日比野柚葉ちゃん。


柚葉ちゃんは、明るくて優しい子。ちょっと天然だけど、たまに勘が鋭いときがある。


そして、私の名前が夢犀 星那だから、『せーちゃん』って呼んでくれている。



「そういえばせーちゃん!昨日の"青藍"の話、きいた!?」



肩がピクッとはねた。




――――――――"青藍"。




「………ううん。まだだよ」



ニッコリと笑って返す。


すると、嬉しそうに目をキラキラさせて話してくれた。



「昨日ね、青藍がコンビニ強盗を捕まえたらしいよ!なんか、偶然居合わせて、それで相手はナイフを持ってたけど、それをかわして、バーンッて捕まえたみたい!」



よっぽど興奮しているのか、柚葉ちゃんの鼻息が荒くなってる。



「そうだったんだ」


「そうなの!すごいよね!!」


「うん。すごいね」



柚葉ちゃんは楽しそうに話してくれるけど、実はもうその情報も知っているし、更に詳しく知ってるんだよね。



「もぉ〜。せーちゃんって、青藍の話興味ないの?返事はしてくれるけど、それ以上はいかない感じ〜」



興味ないわけじゃない。というか、興味しかない。


だって、青藍の総長は……私のキャップを持っているから。


数年前に落としたキャップは、いまだに取り返せていない。


なんで青藍が私のキャップを持っているかと思うけど、落とした後、家でキャップを拾った男の特徴を思い出しながら調べたんだよね。


そしたら、なんと同い年で、青藍の総長って事が分かったんだ。