「どうしても、お金が必要です。必ず返すのでお金を貸してください」って。


そしたら、なんと親戚の人達は私を引き取りはしなかったけど、いつか渡そうと相続した財産を残してくれていたみたい。


私はそれをありがたく受け取って、すぐに一人暮らしを始めた。


だから、中学3年生はあまり学校に行かず、自分の生活を整えて家で受験勉強した。


その1年で、学校のありがたさがわかったんだよね。


キャップを取り戻したら高校を辞めるつもりだから、今のうちに楽しんでおかなきゃ。


次の授業は……自習か。


だったら、週末の課題をやろうかな。


今週末は新月だし。


机の上に教材を用意した時、" 左ポケット "が震えた。


左ポケットが震えた正体を、そっと取り出す。


周りをサッと見回して、誰も自分のことを見ていないと確認する。


スマホの電源をつけると、施設からだった。



[今月の何処かで、手伝いに来られるかな?]



また……か。私はもう施設を出たけれど、こうしてたまに[手伝いに来て欲しい]と連絡が入る。


勿論、手伝いには行く。


イジメを無視されていても、あそこで育ったことは事実だから。



[わかりました。来週末に行きます。]



そう返信して、スマホをポケットにしまおうとした時。





「えっ……!?嘘!こんな時間に来るなんて……!」


「朝以外に見られるなんて、ラッキーすぎる!」


「何かあったのかな!?」




なんだか、廊下が騒がしい……?