「ほんと、嫌だね。日比野さんズルすぎ。俺だってしたいよ」


やけに「いいでしょー」を強調する柚葉ちゃんと何故か悔しそうな中田くんの姿にハテナが浮かぶ。



「って、中田くんのことはどうでもよくて。どうしたの?せーちゃん」


「あのね、やっぱり青藍の総長の隣の席は無理だって思って……」


「んえ!意外!せーちゃんってそんなの気にしないと思った」




驚いた声を出す柚葉ちゃんに続いて「俺も思った」と言った中田くん。



「気にするよ〜。もうさ、朝に横から圧を感じるともう1日中気分が上がらなくなる」


「あ〜〜、確かに浮島くん圧ヤバイよね。遠くでも感じるのに横のせーちゃんはキツイよね」





まぁ……、実際は圧というより怪しまれないかが心配ですごい精神が削られるから嫌なんだけどね。


正直あのくらいの圧は全然余裕。



「夢犀さんもそういう事あるんだ。なんかかわいーね」



私の髪を一房持ち上げながらニコッと笑う中田くんは本当に王子様みたい。


確かに、この顔で微笑まれたら誰だって恋しちゃうよね。


ただ青藍の存在感がすごすぎてあまり注目されないってだけで、すごいモテると思う。



「こらーー!せーちゃんに触らないで!せーちゃんに触っていいのはあたしだけなの!」



柚葉ちゃんが光の速さでパシンッと中田くんの手をはたき落とす。




「はぁ〜ほんっと、日比野さんがいなければなぁ。そしたら夢犀さんに触れるのに」


「残念でしたぁーー!あたしは絶対せーちゃんから離れませーーーん!」