その言葉は、当時の私には理解できなかった。



『……事故……?』


『そう。それでね、今、――ちゃんの家に、――ちゃんの親戚の方が向かってるから、その方とと一緒に病院に来てね?』


『……………は、い……』



そっと受話器を置いた。


事故というのが分からなかったが、なんだか良くないことが起こっていることがわかった。


その時、玄関の方で【ピンポーーーン】と音が響いた。


すぐに玄関の扉を開けると、病院の人が言っていたとおり、親戚の人がいた。



『―――ちゃんだよね?一緒に行こうか』



そう言われ、親戚の人の車に乗せられた。


病院に着くまでの間、親戚の人が何か言っていたけれど全く頭に入ってこず、ただただ病院2着くのを待った。


病院に着くと、さっき電話をしてきたと思われる女の人にすぐ病室へ案内される。




『………………、』




私は病室に入った瞬間、言葉を失った。


ベッドに寝ている家族は何やら色んな機械が付けられていて、見ているだけで痛々しい。



『おとーさん。おかーさん。おにーちゃん』



気づいたら、涙が溢れていた。




後から聞いた話、私自身は忘れていたけれど、その日は私の5歳の誕生日だったらしい。


その誕生日プレゼントを私が起きる前に買いに行こうということで、私以外の3人で出かけたみたい。


ウチは誰も車の運転免許を持っておらず、歩きでショッピングモールに行き、誕生日プレゼントを買い帰る途中の横断歩道を渡る時に信号無視した車にひかれたらしい。