俺は夢犀 星那の腕をぐっと引き寄せた。


すると、その反動で酔っ払いの手から夢犀 星那の腕が離れた。




「このコにさ、何するつもり?このコ、俺の大切なコなんだよね。もし、このコに手を出すつもりなら―――――、
 
容赦しないよ?」




俺はそう言うと、少し睨んで圧をかけた。


そしたら「チッ」と舌打ちをして去って行った。


はぁ……とため息を付く。




「あっ、あの!助かりました、ありがとうございます」


「いやいや、全然。この辺りは夜酔っ払いが多いから気をつけて」




ていうか……。


じっと、夢犀 星那を見る。



結構地味な格好してるけど、近くで見ると肌はきめ細やかく、鼻も唇の形も整っている。


それに、独特な雰囲気がある。



まるで………"あの子"みたい……。



「あ、あの……?」




声をかけられ、ハッとする。


ジロジロ見過ぎた……。




「なんでもない。じゃあ、気をつけて帰ってね」




そう言ってその場を離れようとしたとき。




「あっ、待ってください……!」



制服の袖をぐっと引っ張られた。


すぐに腕を引いたが、彼女の手は制服から離れなかった。


力、強……。



「あの、間違ってたらごめんなさい……。
もしかして、宇月……輝、先輩……ですか……?」



「…………知ってるんだ、俺の事。あんまり学校に行かないのに」