すると、更にぞろぞろと人が入ってきて、女を囲むように並ぶ。


そして、一気に女に襲いかかった。


女は飛んでくる攻撃を全てかわし、次々と相手を倒していく。








最後に立っていたのは―――女だけだった。





女は倒した奴らを縄で縛り上げ、警察に連絡した。



「〇〇倉庫で、薬の取引が行われている」……と。



そして、パーカーのポケット隠し持っていた白色のチョークを取り出すと、床に、名前を書いた。





――――――――闇月(みつ)……と、丁寧に読み仮名も添えて。





闇月は立ち上がると、チョークをしまい倉庫を出た。


周りは、パトカーのサイレンが響きわたっていた。


きっと、さっきの通報で警察が動いたのだろう。


闇月はチラリとそちらを見た後、走り出した。


彼女は、正体を隠しているため、警察に見つかるのはまずい。


突然、とても強い向かい風が吹いた。


すると、フードが頭から離れ背中にかかり……キャップが後ろに飛ばされた。



「あっ………!」



彼女からでた声は高く、焦りが含まれていた。


トサ……、と十数 m先にキャップが落ち、急いで取りに戻ろうとした、が………。


………先に、男に拾われた。



「っ………」



闇月は足を止めた。


返してもらいたいけど、闇月は顔を見られたくない。


たとえ、自分が闇月とバレなくても。


彼の髪は銀色で、新月の夜でも輝いて見えた。


不意に、彼が顔を上げた。