[ Side輝 ]




俺の周りは、常に敵だらけだ。


喧嘩が強いくせに、どこ族にも所属していないから、いつ、どこでも喧嘩を吹っかけられる。


勿論、返り討ちにしているが。


そんなこともあり、俺は常に警戒心を持っていた。


何あったときのために、学校の生徒全員の個人情報と、先生の個人情報を全て把握していた。


俺は、喧嘩をする事に敵が増え、仕方なくパソコンを覚え、今ではハッカーとしての実力はNo.3にまで上り詰めていて。


しかし、ハッカーの能力が知れ渡り、更に喧嘩を吹っかけられる回数が増えてしまった。


正直、やってられない。


今さっきも、学校から出た瞬間に路地裏に引きずり込まれて、袋叩きにされそうになった。


……やり返したけど。


ただ、人数が多すぎてこんな時間になってしまった。


はぁ~とため息を付いたとき。




「あ、あの!離してください!!」




少し焦ったような、女の声が聞こえてきた。


声が聞こえた方の曲がり角に足を向け、少し覗き込むと、酔っ払ったおやじに腕を掴まれている、女子高生の姿が見えた。


って、女が着てる制服、ウチの高校と同じだ……。


誰だ?後ろ姿じゃわからなねぇ。


その時、ほんの少しだが、横顔が見えた。


あいつは……夢犀 星那だ。


夢犀 星那は、個人情報を思い出さなくても、出てくる……いや、出てはこない。


なぜなら………あいつの個人情報が隠されているから。