柚葉ちゃんと私の家は反対方向なので、店前でバイバイする。
お店から私の家までは歩きで1時間弱。
そして、歩きだして30分。
今日は柚葉ちゃんとパンケーキ3段食べちゃったから夜ご飯食べられないな〜……って、元々夜ご飯はあまり食べないんだけどね。
そんな事を考えて歩いていると。
パシッ!と後から腕を掴まれた。
すぐに振り返ると、酔っ払った50代くらいのおじさんが私の腕を掴んでいた。
「はぁ……はァ……、き、君かわいいねぇ……」
荒い息。上気した頬。大量の汗。その全てが私を震わせた。
本っ当に気持ち悪い。
「お、おじさんがいいことしてあげる……だっ、だから……はァ、……はァ。お、おじさんについておいで…」
そう言って私を追い越し、腕を強く引っ張り歩いて行く。
「あ、あの!離してください!!」
そう言って腕を軽く引っ張っても、すごい力で引っ張られていて解けない。……いや、解けなくもないけど、そしたらこのおじさんのこと気絶させちゃうし。
どうやら、この人はスーツを着ているのできっと会社の帰りなんだろう。
それに、もしかしたらこの人も家庭があるかもしれない。
帰りが遅くなると家族が心配するよね。
正直、気絶させて警察に通報するのもなんだかおかしいような気がして、同仕様もできない。
って、気づいたらもうすぐホテル街……!
そういえばさっき、「おじさんがいいことしてあげる」的なことを言ってた……!