*   *   *   *


放課後。


あれから青藍の人達は戻ってこなかったので、特に浮島 瀬那と話すことはなかった。


授業では隣の席の人とペアワークなんてあるし、もし授業にでてたら………。


うう……考えるだけで最悪。


実は、この高校に入学して2ヶ月、私はずっと青藍を監視してたんだよね。


私のキャップはきっと青藍の倉庫にあると思うから、本当はすぐにでも取り返しに行きたいけど、夢犀 星那として行くのはおかしい。


でも、闇月としても行きづらい。


闇月の活動は、新月しか行わないから、新月の日は必ず活動するんだ。そうすると、夜には行けない。


それに、顔が見えないように新月の日に活動するんだから、日中にも行けない。


日中に青藍のところに行って、素顔を見られるのだけは避けたい。


だから、何かいい方法ないかな〜と思って。


あと……、浮島 瀬那に何かを感じる。なんかこう……、懐かしいような、だけど、ドキドキするような。


だから、監視というより、観察に近いかも。


正直、全く分からないけど、もしかしたら………、
11年前に会ったことがあるのかもしれない。


もしそうだとしたら、私は思い出せない。


なぜなら―――――私は、5歳までの記憶がないから。


普通、人間はそのくらいの頃の記憶はほとんど残らないけど、私は全て忘れてしまった。


原因は、家族の事故死のショック。


まぁ、全て忘れたというか、家族の思い出だけは残っているからそこは幸いだったな。