すると、いきなり原田さんが片手を振り上げた。


もしかして打たれる!?別に避けられるけど、ここで避けたら目の敵にされるかな?


それに、女子の力はそんなに強くないから打たれても全然大丈夫。


そして、原田さんが勢いよく腕を下げた。


私はぎゅっと目を瞑る。





―――――バンッ!





乾いた大きな音が、響いた。


でも、全く痛みを感じない。


恐る恐る目を開けると。



「あ〜〜よかった!夢犀さん、いつも日比野さんと話してるとき、青藍の人達に興味ないって感じだし!好きになる可能性ないし!あ〜〜よかった!」



原田さんの振り上げた腕は、私の机の上に。


どうやら、原田さんは私じゃなくて机を叩いたみたい。


すると、原田さんがさっき言った言葉を聞いた女子が、



「原田さんの言う通り、夢犀さんってそもそも男子に興味ないみたいだし、逆に良かったんだよ!」


「だね!!青藍のファンより、夢犀さんで良かった」




この後も、次々と私で良かったという声が上がった。


正直、どうなるかと思ったけど、認めてもらえてよかった……。



あれから数分後。


予想通り、HRが終わると青藍の人達はすぐに教室から居なくなってしまった。


そして今は、1限目の準備時間。




「せーちゃぁ〜〜ん!!席、離れちゃったねぇ!」


「だね〜」


「俺も悲しいよ〜。夢犀さんと隣どころか真逆って」




私と柚葉ちゃんが話していると、すっと現れた中田くん。


全然、気配しなかった……。