次の日、学校についた瞬間目当ての人物が目に入って、早足でその人の元に向かう。

「長瀬長瀬っっ!!」

私がそう叫ぶと、本人を含むその場にいた全員が私に視線を向ける。

ちょ、ちょっと大きな声出しすぎたかも……。

「はい……っ!な、なんでしょう……」

でも、長瀬がそう聞いてくれたから、私は気にせず長瀬の席の前に座る。

「昨日アニメ一期を全部見たんだけど、あれヤバい!」

「も、もう見たんですかっ⁉︎」

「うんっ、ちょっと気になっちゃって一話見たら止められなかった」

おかげで寝不足だよぉ……と、目の下のクマを指さすと、長瀬は少しおかしそうに笑う。

「夏目さん、顔が綺麗だから余計にクマが目立ちますね」

顔が……綺麗……。

無意識でそう言ったんだろうけど、少し照れてしまう。

……なんだろう、長瀬は天然なのか……っ?

……まって、“クマが目立ちますね”……?

「うそっ」

慌てて手鏡を取り出して見てみると、確かにクマが目立っている。

「朝確認した時は見えなかったのに……」

長瀬に恥ずかしいところを見られてショックを受ける。

「あっ、す、すみませんっ……その、夏目さん、クマがあっても変わらず可愛いので、大丈夫ですよ?」

「……かわいい」

「……?はい、可愛いです」

ぜ、絶対に天然だ……この子……。

一切の曇りのない長瀬の目を見て、私はそう悟った。

        + + +

「ここな、いつから長瀬と仲良くなったの?」