「いっしょうのお願いです……ちょっとだけ、付き合ってくれませんか……っ?」

「……え?」

しばらく棒立ちで立っていたと思ったら,突然土下座する勢いでそう言った長瀬。

は、初めて長瀬が大声出してるの見た……。

そんなことを思っていると、長瀬が言いにくそうにしながら、ぼそっと呟く。

「ぼ、僕……その……アニオタ、なんですけど……」

「あぁ、知ってる」

「えっ⁉︎ど、どうしてっ……」

めちゃめちゃ頑張って隠してたのに……と魂が抜けたかのように天井を仰ぐ長瀬。

な、何が申し訳ない……。

「長瀬のカバンの内側のポケットにアニメのキーボルダーついてるの見たことあるから」

たしか、ヒーローものだった気がする。

私はあんまりアニメを見ないけど、弟がよく見ているから少しくらいならわかる。

「で、アニオタがどうかしたの?」

「そっ、そんな大声で言わないでください!……アニメのグッズをよく、集めてるんですけど……クレーンゲームってなると、なかなか取れなくて……」

毎回一万近くかけてるのに何も取れず……と少し涙を流しながらそう言うから、可哀想に思えてくる。

「なるほど。じゃあ、私にそれをとって欲しい訳だ」

「はい……わがままを言っているのは重々承知なんですけど、できたらお願いした……」

「いいよ」

長瀬が言い終わるより先にそう言うと、すぐに結論を出した私に驚いたのか、長瀬は今日一大きい声を出す。

「いいんですか⁉︎」

目をキラキラさせてそう言う長瀬がなんだかかわいくて、頬が緩む。