「……よし、これでやっと全種類コンプ!!」

すっかり空がオレンジ色になってしまった夕方六時。

ゲームセンター三店舗目でやっと四種類コンプリートすることが出来た。

「わぁ……っ、ぼ、僕の手の中に……っ、全種類……っ!」

こんな経験初めてだ……っ、と、涙目になっている長瀬を見て、私も自然と嬉しくなる。

「いやー、二店舗目になかった時はほんとに焦ったけど、あってよかったねぇ……」

ゲー厶センターのそばにあった自販機で買ったつぶつぶが入ったオレンジジュースを勢いよく飲むと、疲れた体に糖分が行き渡るのを感じる。

「うん……いつもの僕なら諦めてたけど、ここちゃんが諦めずに探してくれたからコンプリート出来たよ……本当にありがとう!」

同じく自販機で買ったコーンポタージュをちびちびと飲みながら、長瀬はそう言う。

すると、何かを思い出したのか、長瀬は慌てたようにカバンから財布を取り出す。

「あっ、この人形たちのお金、まだ払ってなかったねっ、ごめん!確か、2000円くらいだったけ……?」

……あ、そういえばそうだった。

「いや、いいよ。大丈夫」

「えっ、そんなのダメだよ!ちゃんとお金は払うから!」

「いや、ほんとに大丈夫だからっ!」

ものすごい形相で財布を掲げて迫ってくるから、私もつい大声で対抗してしまう。

な、長瀬って以外……ではないけど、めちゃくちゃ律儀だ……。

「絶対に払うから!」

そこが長瀬のいい所なんだろうけど……。

「何円だった!?ていうか、僕がちゃんと使った金額を数えておけばよかったねっ、ごめん!!」

……ちょ〜っと、しつこいかもしれないなぁ……。

と、その時。

グゥ〜〜〜ッ

二人の間で鳴り響く聞きなれた音。

「……い、今の音って、ここちゃん……?」

さっきまでの勢いはどこに行ったのかと思ってしまうほど、急に静かになった長瀬。

……ど、どうしてこのタイミングで静かになっちゃうのよぉ……っ!!

「……っ、そ、そうだけどっ!?しょうがないじゃない!お腹が空く子は健康な証拠でしょ!!」