「ねえ、隣に行ってもいい?」
「……いいよ」
「やった!」

 私は仁志君の隣に座る。仁志君のぬくもりを感じられ、気分が高揚する。

「隣っていうのもいいのかもしれないわね」
「そうだね。どきどきするよ」
「私のことを女だと思ってみているってこと?」
「いや、……誰だって緊張するよ」

 思えば私も仁志君も顔が完全に赤くなっている。そしてその原因は、あの赤い夕暮れのせいだとは思えなかった。
 だけど、これも偽造計画の第一歩と考えたら、かなりいい気がする。

 そして、幻想的な気持ちで一日が過ぎた。