「ミツキくんがあなたの婚約者というのは、本当よ」

「えっ、本当なの?」

 やっぱり彼の言うことは、間違ってなかったってこと……?
 
「ミツキくんは、あなたが五歳の時に決まった許嫁よ」

「やっぱり……そうなの?」  

 私は心を落ち着かせるため、母が作ってくれたココアを一口飲む。

「十八歳になったあなたは、ミツキくんと結婚が出来る年齢になった。 だからミツキくんは、あなたを迎えに来たのよ」

 母が言うことに対して、私は「どうして、私が彼の許嫁になったの?」と問いかける。

「五歳の時に、十八歳になったら結婚する相手を選ぶルーレットがあるの」

「……ルーレット?」

 ルーレットってなに……?

「そのルーレットを回して選ばれたのが、ミツキくんよ」

「え……?」

 ルーレットで、私は婚約者を選ばれたってこと? なに、そのルール……。
 黙っている私に、母は「でもね……そのルーレットを回したのはリオル、あなたなのよ」と口にした。

「えっ!? 私っ……!?」

 私が、ルーレットを……!?

「どういうこと?」

「覚えてない? 五歳の時、子供たちの成長を願うパーティーっていうのがあったの」

「子供たちの成長を願う、パーティー……?」

 そう言われて記憶を辿ってみるが、全然記憶にない。 覚えてないよ……。
 マグカップを持つ私に、母は「そのパーティーの本当の目的はね、婚約者を決めるためだったの」と言った。