「……ミツキくん、あのね」

「はい」

 私はミツキくんの服の袖を掴む。

「私……あなたとの結婚を白紙にしたかったのは、本当なの」

「はい」

「でも……私はミツキくんと一緒にいると、ミツキくんの優しさについ甘えちゃう」

 私はミツキくんと一緒にいることに、居心地のよさを感じているのだと実感した。

「僕は、リオル様にはたくさん甘えてほしいと思っています」

「え……?」

「大好きな人には、たくさん甘えてほしいものですよ?」

 そんなに優しいことを言えるミツキさんを、私は尊敬する。

「……そんな優しいことを言ってくれるのは、ミツキさんだけですよ」

「僕はあなたのことが、大好きですから」

 そんな優しいミツキさんのことが、私は……。

「僕はリオル様以外、誰も愛することは出来ません。……僕には、あなただけです」

 私の頬に手を触れると、ミツキさんは私の顔にそっと顔を寄せた。

「ミツキ……くん」

 私たちはお互い吸い寄せられるように、唇を重ね合わせた。 それは優しくて甘いキスだった。

「リオル様、僕とこれからも生涯を共にしてくれますか? この先もずっと」

「……はい。よろしくお願いします」

 私はミツキくんに差し出されたその手を取った。

「私、ミツキくんのことが大好きだよ」

 私は気付いた、私は彼に恋をしていると。



【完結】