「ありがとうございます」

 ミツキくんとソファに並んで座ると、ミツキくんは「リオル様、どうされたのですか? 二人で話したいなんて」と私を見る。

「あのね……私、ミツキくんに伝えたいことがあるの」

「伝えたいこと、ですか?」

「うん。……私ね、シズルくんとは付き合ってないの」

 この際だから、正直に言おう。何もかも全部、話そう。

「えっ?」

「ウソついてごめんね。……私が頼んだの。シズルくんに、彼氏のフリしてをほしいって」

 私がそう話すと、ミツキくんは「どうして……そんなウソを?」と問いかけてくる。

「……それだけじゃないの」

「それだけじゃない……とは?」

 私は自分の手をぎゅっと握りしめて、「私、ミツキくんとの結婚を白紙にするために……あなたに嫌われようとしたの」と話した。

「え? そうなのですか……?」

「カラオケの時もそうだよ。私歌が本当に下手だから、歌が下手だってわかったら、諦めてくれるかなって思って。……でも、私よりミツキくんの方がちょっと下手で作戦失敗しちゃって」

「そ、そうだったのですか?それはすみません」

「違うの! ただ……料理の時もそうだったんです。私料理が本当に下手でセンスがないから、料理が下手だってわかったら、ミツキくんとの結婚白紙になるかもって思って期待して……」

 でもことごとく作戦は失敗してしまったから、どうしょうもない。