「リオル様? どうかされましたか?」

「ミツキくん、みんなミツキくんのこと見てるよ」

「えっ?僕ですか?」

 気付いてなかった感じなのか……。

「ほら、早く行こう!」

 私はこの状況を一刻も早く抜け出したかったせいで、自然とミツキくんの手を握って歩きだしていた。

「あ、あの……リオル様?」

「なに?」

「あの、手……繋いでくれるのですか?」

 私はその言葉の後「えっ?」と繋いだ手を見る。

「あっ! ご、ごめん……!」

 私ったら、今無意識だった!? は、恥ずかしい!

「いいえ。とても嬉しいです」

「そ……そうなの?」

「はい。リオル様から手を繋いでくれるなんて、幸せです」

 と嬉しそうに微笑むから、私もついその手を離したくないと感じてしまっていた。
 なぜだがかわからないけど、気持ちが不思議な感じだ。

「リオル様、卒業のお祝いをしましょう」

「え? お祝い?」

「はい。リオル様のお父様とお母様と一緒に、お祝いをしましょう」

 ミツキくんが嬉しそうに笑うから、私までなんだか笑顔になってしまう。 この嬉しい気持ちって、何なんだろう……? 

「ミツキくん」

「はい」

「ありがとう」

 ミツキくんは「何がですか?」と私を見るから、「お祝いしてくれるなんて、嬉しいよ」とミツキくんに伝えた。

「それは良かったです。 では、急いで帰りましょう」

「うん」

 家に帰るまでの間、私たちはずっと手を繋いで歩いていた。